大分県内には宇佐海軍航空隊の他に、佐伯海軍航空隊、大分海軍航空隊、近県では福岡県の築城海軍航空隊(現在、航空自衛隊築城基地)などが開隊されました。これまで、宇佐市内を中心にレポを報告してきましたが、他地域の保存状況や記念館も見学したい、と思い立ち佐伯市に出掛けました。 佐伯市の戦跡を訪れるにあたり、まず「佐伯市平和記念館やわらぎ(佐伯市観光協会)、(Active おおいた版) 」で資料等を拝見しました。当館は佐伯海軍航空隊の跡地に設置され、近くには旧海軍の建物でもあり、訪問した時は海上自衛隊基地として利用されていた建物がありましたが、私たちが訪問した後に老朽化により取り壊されました。当館の職員さんも丁寧に説明して頂くと共に、周辺にある戦跡の情報も戴き大変参考になりました。当日は平日にも関わらず、高校生の団体の視察もあり、このような記念館を設置することの意義を改めて感じた次第です。館内には当時の資料や佐伯海軍航空隊の歴史などが解りやすく展示されていました。 「やわらぎ」を出た後、上述した海上自衛隊の建物、宇佐市にもある掩体壕や基地の建物等を見て回りました。これについては株式会社興人の敷地内にあるため門の入口にある受付で許可を得てからですが、特に、難しいことを言われるでもなく、「どーぞ、ご覧ください」みたいな雰囲気で、自分たちが知らなかった当時の建物の場所についても教えて頂きました。 その後、「やわらぎ」で教えて頂いた、文理大付属高校の壁、隊門の入口、弾薬庫の跡などを見てまわりました。(2010.9.3) |
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【佐伯市観光協会の「やわらぎ」の紹介文】 | ||||
佐伯市平和祈念館やわらぎは、平成 9年佐伯海軍航空隊兵舎の跡地に開館しました。祈念館では軍都佐伯の歴史から、世界に大きな傷跡を残した先の大戦について検証します。そして、平和な世界を築くため、ひとりひとりができることを考える場として活用していただくことを願っています。 館内展示は、「1. 明治以降の世界と日本」「2. 佐伯と戦争」「3. 平和を考える」のみっつに大きく分かれています。とくに「2. 戦争と佐伯」では、2-1.海軍航空隊の開設、2-2.真珠湾攻撃、2-3.戦前から戦中の佐伯、2-4.敗戦から終戦後の佐伯、2-5.佐伯の子どもたちと戦争、と詳細に展示しています。 |
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【旧佐伯海軍航空隊と掩体壕について】 ※掩体壕前の看板より(縦書き) | ||||
昭和六年二月、海軍省が九州東海岸に航空隊を設置することを決定し、佐伯はその有力候補地として、町の発展を願いに盛んに誘致活動を展開していきました。 その結果、立地条件の優位により、同年八月に佐伯海軍航空隊の設置が決まりました。 以来、女島沖・長島一帯、濃霞(のおか)山周辺まで約四十万坪もの広大な区域が海軍航空隊の用地として整備されていきました。この工事には、地元の人々を中心に千人を超える労働者が従事したといわれ、昭和九年二月十五日に佐伯海軍航空隊が正式に開隊し、飛行場が設置され、西側の中江川沿いにには戦闘機の格納庫・指揮所が並び、基地の中枢を担っておりました。 昭和十六年十一月には、ハワイ真珠湾攻撃に先立ち佐伯湾で連合艦隊の統一訓練が行われており、本気地が太平洋戦争の開戦に大きく関わっていたことが分かります。 昭和二十年ごろになると進攻作戦に転じた米軍の九州が次第に激しくなってきました。そのため待機中の戦闘機を米軍の爆撃から守り退避させるための掩体壕が、本飛行場内に分散して設置されました。 この掩体壕はそのうちの一基で、現有規格からして零式戦闘機又は飛燕戦闘機が格納されていたと思われます。 この度、貴重な戦史遺産として、文化庁の「登録有形文化財」に原簿登録されました。 興人佐伯工場 |
(1) 佐伯海軍航空隊の施設。 訪問した時は海上自衛隊の施設として利用されていましたが老朽化に伴い取り壊されました。 |
(2) 掩体壕。株式会社興人の敷地内にあり、この横にもう1基残っています。 掩体壕の前に設置された看板に、上記説明が記載されています。 |
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(3) 掩体壕内部。 宇佐市のものに比較して、作りはしっかりしている印象です。 |
(4) 掩体壕の裏側には合歓の木が植えられています。 株元には「ハワイ退役軍人会寄贈 日米友好の合歓の木」と刻まれた石版が埋め込まれていました。ここ佐伯からも真珠湾攻撃に出撃したことによるものでしょうか。 |
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(5) 指揮所跡。 |
(6) 同左 |
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(8) 指揮所内部。 |
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(9) 長島山の横に掘られた弾薬庫跡。 |
(10) 文理大付属高校付近にある隊門、○がそれです。 |
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(11) 文理大付属高校の壁と一体化した正門。 |
(12) 一般の方の家と一体化している反対側の門柱。 改めて眺めると、宇佐海軍航空隊の隊門と作りがそっくりです。 |
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