1時間程度のハイキングウオーキングです 

【プロローグ】
 一度は登ってみたい北アルプスの山々。夏山の時期、雑誌などを見れば必ず特集記事が載り正直行ってみたいと思う反面物凄い喧騒、混雑も予想され、そこまでしなくても、と思うけど、やっぱ行ってみらんとわからんしな〜、と。
 でもってそんなら何処に登る?。別に映画「点の記」を見たわけでもありませんが、直感的にやっぱ「剱岳」。でもって、ルートはどこから、と考えましたが一般的な「室堂ルート」は人多そうだし、標高差は小さいし、それならば「早月尾根」ルートを選んだ所です。

 遠征の決心をし出掛けたのがちょうど1年前の7月末、登山口となる上市町馬場島が近くなると雨足は強まり、早月川にはかなりの水量が流れ一向に雨が弱まる雰囲気はありません。宿の天気予報番組をずーっと見ていましたが、むしろ雨は強まる一方で、この時の雨は「新潟豪雨」となり各地に被害をもたらしました。翌朝も雨で宿の主人に「来年、また来ます」と言い残して撤収した次第です。それかといって何も得ることが無かったかというと、そうではなく往復に使う体力、資金、時間の把握ができ今回の山行の際にも昨年の記録を活用することができました。
 帰宅後、来年のリベンジを果たすべく、しばらくは早月尾根の写真が掲載された上市町のパンフレットを見える所に貼っておきました

【疑問】
 率直な疑問、関心事として、九州の山で培った体力、気力が北アルプスで通用するのか? 実は、今回の山行直前に本屋さんで立ち読みした山雑誌に尾根の標高差の比較に、「早月尾根」が紹介されており、自分の疑問を問いかけるには申し分ないルートであることを確認することができました。標高差は2,250m、馬場島からテント場の早月小屋まで1,500mとテント装備で傾山に登るのと匹敵します。

 今回はせっかくだからと、いろいろ担いだのもありチト堪えましたが、夏山であれば祖母傾山系でテント泊装備で鍛えておけば体力的にはいけそうです。また、早月尾根はカニヨコバイタテバイに比べ、岩場の通過で難しい箇所は少ないようですが、上部になると鎖場が出てきます。でも、手がかりが多いので天気が良ければほとんど鎖のお世話にならなくてむしろ楽しみながら登れる程度でした。

 山頂に到着して考え始めたのは、「本日、一気に2,250mを下る」 ということで、登る時より不安に感じ、特に、膝は大丈夫かな〜、と。なんとか、下山できましたが、今も少し太股の筋肉痛は下山時の後遺症かもしれません。

【雑感】
 早月小屋まで登ってこられた皆さんの感想の多くにあったのは、小屋直前のルートが壊れたらしく、道を付け替えたばかりだったのですが、これを評して「ひどい道だった」、「獣道みたい」とか・・・自分としては迷う要素が無いだけ十分でしょ、と思いました。やはり、天候の良い時期だけではないこと、圧倒的に登山客の数が違うことなどバリエーションルートを除けば、極力万難を排した登山道の整備が行われているのかもしれません。
 逆に、九州の登山道って自由度が高くてワイルドかも〜 と、感じた次第です。

【8月2日・移動日】
 我が家を午前4時に出発、小倉東ICから高速に乗りひたすら山陽道を走り、米原JCTで北陸道に入り立山ICで高速を降り上市町を目指します。上市町のスーパーで今夜のビールとつまみを購入し、今夜の宿「馬場島荘」がある馬場島には17時過ぎに到着。我が家からここまで約1,000km、所用時間13時間。宿泊手続きをして1泊2食、7,500円を支払い昨年と同じ部屋に通されました。
 到着した時刻では剱岳方面はガスの中でしたが、夜、ふと見上げるとガスが切れ月明かりに照らされる剱岳山頂方面が見えました。

【8月3日 1日目 馬場島荘〜早月小屋】
 4時に起床し、剱岳方面を見上げると山頂方向は見え天気はまずまず。
 5時過ぎに馬場島荘の方に「昨年のリベンジを果たしてきま〜す」と挨拶をして出発。宿から少し歩くと登山口があり有名な「剱岳の諭」、「試練と憧れ」の石碑があります。早月小屋でのんびりしていると後から登ってきた方が「試練ばっかりだったな〜」の一言は迷言でした。

 登山口からいきなり急登で重い荷物にはちょっと堪えます。どうみても6時間もあれば小屋に着くと計算していたので、あえてゆっくり登っていきます。というか正直このペースしか登れないのであります。今年は、夕暮れボッカもしていないし、2週間ほど山に登っていないことも影響しているようです。

 登山道には200m毎に看板があるので目安になります。いずれにしても涼しい内に標高を稼ぎたかったのですが、以外と涼しくないのが実感で、しかも、早月小屋まで基本樹林帯のルートなので日陰はありますが風はイマイチの状態で、なんだか、祖母山の黒金尾根を登っているような気分になりました。登山道も自分から見た印象としてははっきりしていて確かに急登もありますが、全般に快適な登山道でした。
 標高が高くなるに連れ高山植物も目に入るようになり、間違いなく標高を稼いでいることを確認できました。標高で思い出しましたが、200m毎の看板で「1,800m」の看板はちと怪しいです。とういのも時間的にあまりに出てくるのが早く、あとで天場で隣になった方も同様な事を感じていたようです。

 新しく取り付けられた道が終わる頃、景色の開けたピークに飛び出し、下には早月小屋が見えようやく到着です。登山口から約6時間。当日はまだガスがかかり景色が今一つでしたが時間が下がるに連れ次第にガスは標高を下げ、夕方には目の前にはどーんと剱岳が見渡せるようになりました。

 早月小屋で天場代500円を払い、住所と明日の行き先を記入。
ちなみに水2L(ペット)が800円、ビール、コーラ、ポカリはいずれも500円です。後先、水場が無いので水を買えるだけありがいた話です。ただ、天場のそばに雪が残っていてこれを溶かして飲むことも考えないでもありませんが、雪の状況(ゴミ多し)を見ると勇気はいります。でも、天然冷蔵庫として皆さん活用していて、自分もビールと甘夏缶、みかん、ブルーベリーを冷やしておきました。

 天場に到着して、今夜の宿を設営し小屋のそばの椅子に座って、ぼーっとしていると金曜日にも関わらず、登山客が次々に登って、次第に天場も埋まりつつあります。その一方で、どうやら日帰り登山組も下ってきますが、その中で驚いたのは一組の父子連れです。
 誰かが「僕、何年生?」と聞くと「小学校1年生です」、「凄いな〜」と言ってると、山小屋の主が父親に「今日はここに泊まってく?」と聞くと、なんと今から下るというのです。たしか16時ぐらいだったので、登山口には20時位に着くのでしょうが世の中広いな〜。ちなみに子どもの黄色いヘルメットを除くと軽装で靴もジョグ用の靴で、普通にそこらへんの街の中を歩いても違和感の無い格好の2人でした。

 明日も極力早めに出発したかったので早々に寝袋に潜り込んでいましたが、隣の二人組のテントから話し声が漏れてくるというか大きな声で話してるので嫌でも聞こえるのであります。周囲の方々もきっと聞いていたとおもいますが、一方の方が離婚されたらしく、その経過や裁判の様子、調停や養育費の支払いなど生々しい内容でありまして、山でする話なのか、こんなところでしか出来ない話なのか・・・ドラマを見ているようでした。   


出発地点   到着地点 所要時間
(分)
  時間合計(休憩除)
  参考:全所要時間

@
A



 (1)
 移動中。太陽の塔。




 (2)
 暇つぶし。



 (3)
 ついにやって来ました。1年ぶりの馬場島へいざ行かん〜




 (4)
 早月川。昨年は川幅いっぱいに濁流が流れていました。

 (5)
 登山基地となる馬場島荘。
 周辺にはテントも貼れる場所もあり、下山してきた時には駐車場は満杯でした。



 (6)
 夕食は18時から。トンカツは厚みがあり、その他も美味しくいただきました。ご飯とみそ汁はおかわり自由でした。翌朝の弁当をお願いしたら大きくて塩の効いたおにぎりとウインナーが入ってました。

 (7)夜明け前。宿の窓から見えた剱岳。




 (8)
 有名(?)な「剱岳の諭」
 どの山にも共通することのように感じました。

 


 (9)
 「試練と憧れ」の石碑。

 (10)
 このあたりが松本平入口といったところでしょうか。
 ベンチと標高を示す看板が設置されています。




 (11)
 標高1,000mの看板。山頂まで200m毎に設置されていました。
 
 (12)
 途中、年期の入った杉が目に付きました。




 (13)
 なんとなく祖母山系っぽいかも。




 (14)
 標高1,800m。九州本土最高峰より高い、お初の標高ですがGPSで確認するとちょっと怪しい・・・




 (15)
 同左の近くで見かけた「コイチヨウラン」(多分)

 (16)
 三角点?
 標高2,100m付近です。ここで福井県から来られた60歳代の方から北アルプスの話を色々聞きました。





 (17)
 2,000m付近にちょっとした広場があります。帰りはここで「変身」しました。
 (18)
 ムシトリスミレ。葉っぱは粘液に覆われ、小さい黒い粒々はみな虫です。




 (19)
 2,200mを越えた付近に小さい池があり周辺には色んな花も咲いていました。。

 (20)
 池のそばのイワカガミ



 (21)
 早月小屋手前のピーク2,224mより。





 (22)
 小屋付近のテント場。右側には雪が残っています。




 (23)
 冷蔵中の缶詰とみかん。
 この標高で缶詰、みかんは命の泉です〜

 (24)
 キヌガサソウ。




 (25)
 同じく、キヌガサソウですがこちらが咲き始め、左が開花後しばらく経過したもの。葉や花弁の数が異なっていますが、許容範囲のようです。

 (26)ガスが取れた山頂方面。




 (27)窓




 (28)雲海に沈む夕日





 (29)



翌日に続く