祖母山(2014.12.14)

 飛び石連休。真面目に仕事するのも嫌になりつつあるお年頃。天気を見ると21〜22日にかけて冷え込み、23日には回復する予想です。ならば、22日の夕方と翌朝の景色は期待出来るかも・・・と。
 係の皆様に「22日は何も無ければ休む」と、聞くと「何も無い」との回答をいいことに、祖母山で1泊することにしました。当初はテント泊でも、と思いましたが、たまには小屋も良いか〜、と急遽、前日に予約のメールを入れると、夜遅くに返信がありました。
 その文面を読む限り、どうやら自分一人らしい。でも、小屋番さんは登ってくるようだし、そして期待どおり(?)二人きりの9合目小屋となったのでありました。この続きは後ほど。 まずは、山の様子から。

【初日・山の様子】
 有料駐車場に1台。そして自分の車で準備していると先に1名が出発。自分と同じ宮原ルートを登っていました。結局、この方には追いつくことも無く、翌日、足跡を確認すると黒金尾根経由で下山していました。1,500mポストを過ぎた頃、アイゼンを着けようとしている後ろから、超軽装の若い方が追いつきざまに、「この後、高千穂に行こうと思いますが、どう回ったら良いですか?」

 自分は内心「???」 もう少し詳しく聞くと「尾平から登ってきたけど、同じコースは戻りたくないので別ルートはあるか?高千穂には下山後に向かう」とのこと。でも、デイパックに普通のウインドブレーカーにジョギングシューズみたいなので、今日の状況で祖母山頂直下と黒金尾根はちと危ないので、ピストンするように促しました(結局、その通りにしてくれました)。

 なんでも、大分で公演中のサーカスの団員さんで、本日は休みなので、大分市から「チャリ」で登山口まで来て、登って、その後高千穂までいくつもりだったようです。いや〜、びっくり。公演で各地を転々とするので、休みの日は山に登ったり、スポットを巡っているとのこと。マスクをしていましたが、目鼻立ちはなかなかの男前でした。

 期待していた景色・・・登山口では晴れて見えていた山頂も、縦走路に出る前からガスが掛かり始め、途中、瞬間的に青空が見えましたが、≒撃沈状態です。

【小屋にて】
 15時過ぎに小屋に着いて、雪を落としていると小屋番さんも到着し、早速、薪ストーブを点けることに。一緒に木を切ったりしながら無事ファイアー! 16時過ぎ、撃沈覚悟で山頂に夕暮れ撮影に行くも、やっぱりガスは晴れず(-_-;) 戻ると、小屋番さんが「寒かったやろ〜」と、お茶を準備してくれました。

 部屋のこたつには豆炭を入れ、後ろには石油ストーブと至れり尽くせりで、万が一のためテントは担いで来ましたが、この時期、この場所の炬燵は麻薬的環境です。小屋番さんは毎度、ミュージックと物理の解説、今回の最初の解説付きミュージックは松たかこの「アナ雪」で、小屋番さんはいたく気に入っているようでした。自分は話を聞きながら飯の準備と今の状況をそよかぜ姉さんらにメールで知らせたり。まさか、と思いながら「ビールありますか?」と聞くと、「あるで!」、「! それじゃ1本」とキンキンに冷えすぎたスーパードライが出てきました。別にお燗をつけた持参の日本酒あり。

 小屋番さんは甘いお菓子が好きなので、コンビニで「きなこ饅頭」を購入して差し入れ、ビールのつまみの柿の種なども皿に出し、男二人地味ーに音楽を聴きながら柿の種を摘まんでいる様子は、別の方が入ってくると結構引ける光景かもしれません。晩ご飯は自分はウインナー、タマネギ、キャベツを塩こしょうで野菜炒め。小屋番さんは「これも凍ってしもうた〜」と言いながら取り出したのは出汁と一緒に凍った「冷凍おでんシート」。凍ったおでんシートを見たときは思わず笑ってしまいました。

 静かな小屋とは裏腹に外では風が吹き気温もマイナス8℃。21時を過ぎたので寝ようとすると、小屋の入口上の屋根裏が暖かいのでそこで寝ると良い、と勧められ、薪ストーブの煙突が突き抜けた屋根裏部屋に上がり、恒例の蒲団代わりの毛布を敷いて寝床にしました。結局、持ってきたシュラフは枕になりました。夜中にトイレに起きて下に降りてみると随分気温の違いが分かるほど屋根裏は暖かかったです。

 翌朝、なかなか起きてこない小屋番さん。自分は5時に起床し朝飯喰って、6時過ぎに出発する頃まで音もしないので、大丈夫か〜?、と思いながら大声で「今から出ま〜す。ゆっくり寝とってください〜」と声をかけると、人の気配がしてほっとすると同時に小屋番さんが降りてきて、水平線がようやく赤味掛かってきた程度の暗がりの中見送ってくれました。今回は、この時期、一人だったこともあり至れり尽くせりの9合目小屋でした。

【2日目、山の様子】
 山頂に立つとピーカンかと思いきや、馬蹄形の稜線にはなだれ込むようにガスが押し寄せています。この光景は、これまでも何度か祖母山頂でお目に掛かったことがありますが、今回のような勢いは初めてで、ガスがピークの時はずーっとシャッターを押し続けていました。祖母山頂で目くるめく光景に1時間半ほど酔いしれてから、古祖母山を目指して縦走路へ。

 黒金の出合いまでは、これまた青い空の下、霧氷を見上げながら歩き目の保養しましたが、黒金の出合いから一変、障子岳まではスズタケと格闘しながら小動物の踏み跡しか無い道を進みます。そんな時、阿蘇山方面に目を向けると黒煙が数百メートルほど立ち上ると、今度は西風に吹かれ流れ始めています。改めて、風向きを確認するとなんとなくこっち方面に灰が流れているようにも見え、大した量ではありませんが、下山すると車にもうっすら灰が降っていました。

 障子岳を通過し、古祖母山に向かう稜線は登山道には積雪があるものの、霧氷は全くと言って良いほど無く、なんだか季節が少し後戻ったような光景となりました。初日は3名登山者を確認しましたが、天気の良かった2日目の休日は誰にも会わない、みんな何処に行ったんだろう? と思いたくなるような1日でした。

  








 (1)出発前に見上げた祖母山。雪は思った程大したこと無さそう。

 



 (2)今し方、歩いたばかりの先行者。





 (3)宮原。積雪は数p。






 (4)馬の背付近。



 


 (5)お〜、それでも霧氷は綺麗。





(6)間もなくテン場です。





 (7)写真の大きさが気持ちを表しています。撃沈の夕暮れ。





 (8)小屋番さんと焚きつけた薪ストーブ





 (9)キンキンに冷え上がったビールと柿の種を摘まむ小屋番さんの手。


 

    
 (10)左が自分の晩ご飯のおかず、右が凍り付いたおでん。
 




 (11)暖かかった屋根裏部屋。





(12)翌朝。ここからは画像の垂れ流し状態となるので悪しからず〜





(13)ガスに覆われた大障子岩。





(14)尾平になだれ込む





 (15)雲海。向こうの真ん中の三角錐は多分市房山。





 (16)うっすら裏ヤケとくじゅう連山。





(17)大崩山付近から日の出。





(18)朝日に染まる足元の霧氷。





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(20)縦走路方面を怒濤の如く流れ込むガスに圧倒されました。





(21)くじゅう方面にも朝日が差し始めました。





(22)頭だけ出た大障子岩。





(23)お〜!






(24)静まりかえった縦走路方面。





(25)祖母山。





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(27)障子尾根方面はまだまだ続いていました。





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(29)山頂直下から見上げて。





(30)よく見ると火山灰(多分・・・)




(31)綺麗・・・しばらくは上を向いたままでした。





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(36)中岳の噴火





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(38)ここから障子岳の間はスズタケとの格闘でした。





(39)拡散する火山灰。次第にこちら方面に近づいてきました。





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(41)障子岳山頂より





(42)同じく傾山方面





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(46)県道7号。日陰ではまだ雪が残っていました。