テント泊縦走、天主山近辺ではヤマシャクヤクを堪能しました 

  以前より山馬鹿さんからテント泊のお誘いがあり、連休前に一度企てましたが天気が望めないので延期、今回のテント泊山行となりました。山馬鹿さんのお薦めもあり九州脊梁の山々を巡ることになり初日は国見岳まで、テント泊は山頂から少し下った力水付近、翌日は天主山までのロングトレイルで2日間でトータル22kmの山行となりました。
 今回は、山中から下山後まで、いろんな事件がありまして・・・そんなこんなの2日間のレポです。

【5月2日】
 長崎隊(そよかぜさん、山馬鹿さん)と当初、九州自動車道の緑川PAで8時に合流するはずでしたが、そこは5連休初日とありすでに渋滞が発生、携帯で連絡を取り合いながら玉名PAで合流(ここも車は満杯状態)、登山口に向かいました。
 内大臣大橋で休憩後、山馬鹿さんよりここからはダートとの説明。実際かなりのダートでして事件は2日目の下山後でした・・・日頃は通行止めらしいのですが、林業関係の車等が往来し、作業中ではありましたが特に進入を止められる訳でもなかったので、自分の車を翌日の下山口にデポ、山馬鹿さんの車で国見岳登山口まで乗り入れました。

 10時に出発。山馬鹿さんの予定では4時間もあれば十分とのこと。何故か重い荷物を背負ってのんびり歩き始めです。途中、適度に休憩を取りながら登っていきます。初めてのルートで勉強不足でしたが、山馬鹿さんによると以前は主要ルートだったのですが、林道の崩壊等で最近まであまり使用されていなかったとのこと。確かに途中、厳しい斜面等があったりしました。歩き始めて1時間30分ほどの谷で一休みです。ここでは最近、植物の名前にめっぽう詳しくなったそよかぜさんからサバノオ、ワチガイソウなどがあるとの説明、斜面の上を見上げるとちょっとしたヤマシャクヤクの群落もありました。
 12時30分頃縦走路着ここで休憩後国見岳へ。山頂の手前から石楠花が出てきましたが全般に着蕾が少なそうなのと、開花はもう少し先のようです。山頂に13時過ぎに到着すると、山頂には祠があったような写真を見た気がしましたが、ちょうど工事中で椎葉村の4名の方が土台を作成中でした。ここで、ビールで乾杯しちょうど良い気候でしばしうたた寝タイムです。山頂からは明日歩くはずのルートを眺めますが、どの山頂がどの山やら・・・ただ、かなりの距離になりそうなことだけはわかりました。

【宴会】
 力水の側に14時頃にはテントを張りまずは宴会モードへ突入です。山馬鹿さんは過去、酒が足りなくなった経験から40度の焼酎を500mlのペットボトルに入れ持参。まず、ストレートで一口舐めてみると美味。ここから、二人で飲み始めたわけで、20度に換算すると単純に1リットル。こんな、簡単な計算もできずに飲み続け、ペットボトルは最後は晴れて空っぽになった訳で、その後はしっかり酩酊状態・・・。そよかぜさんと山馬鹿さんが準備してくれた炊きたてのご飯とすき焼きを食す事無く撃沈。この状態は、翌日へ持ち越し、そよかぜさんからは非難ごうごうで、どーもこの組合せ、2日酔い山行が多くなる傾向があり、そよかぜさんからは一生言われそうです・・・
 なお、力水は結構天然素材のゴミが多いらしく、そよかぜさんが網で漉してからでないと使用出来ないとのことでした。

【5月3日】
 気分の悪いまま朝を迎え、そよかぜさんから頂いた胃薬を食事替わりに飲んで出発です。一方の山馬鹿さんは朝から卵かけご飯とすき焼きを食し至って健康そうです。日頃から山に入ると余り食べないことに慣れていることもあり、ひたすら二人に付いていきます。
 15分ほどで高岳への看板がありますが、ここから先はあまり人が歩かないルートらしく、確かに踏み跡も急に弱くなり加えて風倒木もルートを解りにくくしているようでした。一方でブナなど森が素晴らしく足は自然と前に進みます。特に、「山池湿原」は今回一番のお気に入りで、水さえ有ればここでテント泊したい気分でした。

 途中、1509mのピーク付近の分岐は間違いやすいの要注意です。
 マイナールートにも関わらず、看板はしっかりしていてちょっとしたコメントを方言で書いており、これがまた一服効果を与えてくれました。1543mのピーク手前、山池湿原から約1時間の場所、通称「よこうていかんですか広場」の看板には「えらい、だれたごたるが、こかー、場がええからちっとよこうていかんですか。こっから、50分ぐりゃー行ったとけー展望岩があるばい。」と書かれています。
 それと、このルートは主な山頂以外はほとんどトラバースしているので比較的アップダウンは少なくて歩けたことも今回助かりました。高岳は最後は急登直登でこの辺りからくたばり始めました。山頂手前には綺麗に白骨化した鹿もあったりとあるがままの山の姿を垣間見た瞬間です。ちなみに、高岳の三角点は少しピークからずれた場所にあります。 
 高岳から一旦、椎矢峠手前の林道におり椎矢峠に向かって歩き、峠手前からあまり使用されなくなったような林道を三方山へ。椎矢峠には簡易トイレがあり、10名ほど山口から来られたライダーがくつろいでいました。三方山を経由、いよいよ今回のフィナーレを飾るヤマシャクヤクの群落を抱える天主山へ向かいます。
 1578mのピークを巻き1514mのピークの斜面を歩いていくとトリカブトとヤマシャクヤクが本当に群生しています。開花はもう少し先で1分咲きといったところですがそれでも見応え十分です。そして噂に聞いていた大群落地でヤマシャクヤクを四方に眺めながら休憩です。ここで腹一杯、ヤマシャクヤクをおかずに卵掛けご飯と昨日のすき焼き用の野菜をサラダ替わりに頂きました。また、ヤマシャクヤクだけでなくここも山池湿原と同様自然林も綺麗で良い場所でした。残念ながら、ガスがかかり小雨も降り始めましたが、霧雨に濡れるヤマシャクヤクもなかなかのものでした。
 地味な天主山の山頂を通過、少し滑りやすい急な斜面を下り綺麗なブナの廊下を過ぎた辺りを左折し谷を下っていきます。一旦、林道に出た後再び登山道へ入りますが、ここの森には巨木が多く最後までこの山塊の自然の深さを感じさせてくれました。
 なんとか2日間を無事歩き通すことができ、長崎隊のお二人には感謝です。

【パンク事件】
 今回のパンク事件、発生したこと自体はアクシデントですが、その後の展開は超ラッキーでした。
 下山終了、お互いの行動を確認後、それでは〜、と別れ林道を下っているとちょとしたでこぼこでバウンドした直後に急に右後方のタイヤから音が聞こえ始めたので降りてみると何やら釘のような物が刺さっていました。やられちまった〜、と思いながらとりあえずスペアタイヤに交換しようと思った矢先ジャッキはありましたがレンチが無い!
 ちょうどその時、後方から追いついた山馬鹿さんが持っていたレンチで何とか交換できました。ラッキー1。パンクしたタイヤを抱えガソリンスタンドに持ち込んで刺さった釘を抜いてみる、となんと20cm近くある代物でスタンドの方も呆れて笑っていましたが、ホイール本体を痛めなかったことがラッキー2。
 でもって、スタンドでは修理できないサイズの穴なので、スタンドで教えてもらった近くのタイヤ屋に行くと、店主曰く「だいたい今日は休みで、茶摘みのあと打ち上げしていて猪肉が足りなくなったのでちょうど取りに帰った所じゃ」と、しばしやりとりをしていると「山に登ってた」と言うと、急に優しくなって「修理してあげよう」とのこと、ラッキー3。
 ということで、超ラッキーが重なり途中、渋滞に巻き込まれはしましたが大したこともなく無事帰宅できました。 

登った高さ 歩いた距離 所要時間
5月2日 800m位 5.1km 3時間20分
5月3日 1,000m位 17.2km 9時間

 1日目

 (1)
 地図「1.登山口」
 内大臣大橋からはでこぼこの林道を30分ほど走って到着です。すでに、4台ほど駐車していました。


 (2)
 重い荷物を背負いゆっくりと登っていきます。




 (3)
 途中、いくつか小さな沢があります。
 


 (4)
 途中、踏み跡が殆ど消えた急斜面をトラバースしていきます。
 慎重に・・・

 (5)
 地図「2.沢」
 休憩に良い沢です。付近にはサバノオ、ワチガイソウ等々。
 写真の上の方にはヤマシャクヤクもありました。この先も小さな沢が幾つかあります。

 (6)
 地図「3.縦走路」
 登ってきた方向から反対向きに見たところです。右が国見岳へ、左には平家山と書いてありました。



 (7)
 バイケイソウの間を歩いていきます。



 (8)
 国見岳山頂手前には石楠花の群落がありました。開花はもう少し先になりそうです。これでも開いている方です。

 (9)
 地図「4.国見岳」
 山頂の祠は改築中でした。


 (10)
 地図「5.力水」
 山頂から10分ほどです。テントも張りすっかりくつろいでしまった男二人組、この後は・・・水はゴミ(天然素材)が多いそうです。
 2日目      

 (11)
 気分が悪いまま歩き始めです。
 でも、景色は綺麗・・・


 (12)
 地図「6.分岐」
 ここから先、高岳方面は踏み跡は弱くなります。
 看板は最近設置されたようです。


 (13)
 地図「7.山池湿原」
 分岐からこのあたりまでブナの林が綺麗なルートで、この湿原も良い場所です。水があればここでテント泊をしたいくらいです。



 (14)
 地図「8.展望岩」
 山池湿原から間もなくで、今日歩くルートの全貌を眺めることができますが、お初の自分には良くわからんけど遠そ〜

 (15)
 地図「10.よこうていかんですか広場」
 看板のとおり良い場所です。



 (16)
 地図「11.高岳」
 三角点は少し先の下がった場所にあります。ピークはここ。
 

 (17)
 高岳の三角点



 (18)
 地図「12.林道へ」
 高岳から一気に林道に下ります。
 せっかく登ったのにいやだ〜、と言いながら林道に出ました。
 林道を左に進むと椎矢峠です。


 (19)
 地図「13.椎矢峠」
 ライダーの皆さんが一服していました。三方山は矢印の方向へ古い林道へ進みます。



 (20)
 実線が三方山へ、点線が三方山をトラバースルートです。

 (22)
 地図「14.三方山」
 細くて狭い山頂です。



 (23)
 緑の点線で示した付近にさしかかると、トリカブト、ヤマシャクヤクが多くなります。思わず足が止まります。


 (24)
 地図「15.群生地」
 地図ではわかりませんが、窪地状でフラットな場所で、まさに群生地でした。



 (25)
 地図「15.天主山」
 群生地の後、地味な山頂でした。


 (26)
 天主山からの下りです。 



 (27)
 地図「16.左折」の手前。
 ここの少し先を左折して谷を急降下していきます。

 (27)
 以前は利用されていたらしく、木製の階段が部分的に残っていました。


 (28)
 地図「17.林道へ」
 林道に降りて振り向いたところです。○の中に小さい看板があります。


 (29)
 地図「18.登山道へ」
 林道を20分ほど歩くと両側にテープの有る場所があり、ここを左折します。



 (30)
 「巨木の森」
 こんな巨木がたくさん植生していました。

 (31)
 地図「水路施設」
 小松神社の大杉を過ぎて間もなくです。



 (32)
 小松神社前後も結構な道でございました。

 (33)
 小松神社入り口の鳥居。



 (34)
 地図「21.橋」
 この橋を渡ると今回の旅も終わりです。

 (35)
 林道に出た所です。



山池湿原。天気の良い日に一日ぼーっとしたい場所でした。