祖母山メンノツラ谷へ・・・ 

 本来ならば、1泊2日の行程でメンノツラ谷ルートを遡行し、祖母山中でのんびりするはずでしたが、家庭の事情で日帰りとなったので、メンノツラ谷をピストンで祖母山に登ることにしました。ただし、荷物は一泊二日分の荷物(テント、寝袋、食糧等)を詰めたままです。というのも、最近は里山が多く体力の確認をするためです。

 さて、メンノツラと言えば山登りだけでなく渓流に竿をだす方であれば、その名前をご存知の方も多い谷です。というのもヤマメの体側にパーマークという模様があるのですが、その模様が無い変種である「イワメ」の存在が有名だからです。イワメは今のところ大分県を始め愛媛県、三重県、岐阜県、神奈川県で報告され、九州では大分県大野川水系メンノツラ谷だけに生息し大分県の天然記念物に指定され保護されています。前置きが長くなりました。

 起点を白口谷の八丁越ルートとの分岐をと思いましたが、メンノツラ谷のピストンであること林道が予想外に状態が良かったので、400mほど進んだ場所に少し路肩が広かったのでここに駐車して出発しました。帰宅後、改めてメンノツラ谷の情報をwebで眺めてみると7,8年前には登山届のボックスが設置されている付近に5合目小屋があり、ここまで車で行けたとのこと。
 今回、歩いて感じたのはここまで普通車で行けると思います。4WDであれば全く問題ありません。ただ、登山口の少し手前、林道の路肩が崩壊しているので、万が一林道が崩壊することを想定すると、少し下に林道の山側(左)に比較的新しい砂防堰堤があり、この付近は少し広くなっていて自分的にはここが駐車スペースには良いかなぁ、と思いました。ただし、林道は整備された痕跡もあり常に新しい情報を仕入れることをお勧めします。

 林道を歩きながら途中ウインチ小屋や先ほど説明した堰堤を眺めながら約40分で登山口に着きました。が、昨日の雨でどうも水量が増えているようで、いきなり川の徒渉に難儀しました。水量が多すぎて危ないのではなく、始めから靴が濡れるのは嫌だったので・・・次に、風倒木でコースが変わっているし、赤や黄のテープに導かれていくのですが、藪の中にテープが進んでいるので、本当?と思いながら、一度、引き返してみましたが、どうみても藪の中のようで、突っ込んでいくと赤テープが川の方へ続いています。
 とにかく、万事がこんな感じで谷の岩を乗り越えては赤テープを探し、川を渡っては赤テープを探すといったいわば手探り状態です。特に、登りは逆光になるためテープを探し難くもあり余計に時間がかかるようです。

 谷と岩を乗り越えながら進んでいるので、以外と登っていないことを途中の看板で思い知らされます。「六合目」には標高1,050mの記載、ということは山頂まで700m、私設看板には「まだ」の二文字が手書きで書かれていて、本当に「まだ、六合目かよ〜、この看板笑えね〜」、と思いながら谷を見上げました。このルートの一番の頑張りどころです。途中、何度か小滝に行く手を阻まれそうになりますが、あちこち良く探すと必ず高巻くコースで赤テープがあります。また、右側から土石流の後のような崩壊地がありここは、良く空が見えました。次第に水音が小さくなると7合目の看板あたりから苔むした岩や自然林に抱かれたなんとも言えない空間となります。
 
 ここまで来ると登ってきて良かった、と感じはじめました。やがて左側に高さ30m程のなめ滝がありこれを眺めた後、右側の尾根へと登っていきます。縦走路に出るまで何カ所かでスズタケの猛攻に遭遇しながら高度を稼いでいきます。約4時間で縦走路に飛び出しスポドリの一気飲みした後山頂へ。都合、祖母山頂まで4時間20分でした。

 谷を登りながら考えていた大半は、「この谷を下るのかよ〜」でした。でも、ルートを検証することを考えると、やはり往復が基本ですから、山頂で短い休憩のあと9合目小屋近くの水場でたらふく冷たい水を頂き下山開始です。登りで精神的に苦しかったのとは逆に、下りはテープも良く見えるしルートも解りやすいし、下りは妙にルンルン気分で下っていきました。山頂から2時間40分ほどで登山口に到着、林道を下り無事車にたどり着きました。往復ほぼ8時間、今回7時に出発しましたが、もう1時間早く出発しておけば良かったなぁ、と反省した次第です。

 最後に、単独行した本人がこんなことを書くのも変な話ですが、初めて行くルートとしては複数で山慣れた方同士で登ることをお勧めします。

【本日の条件】
 @天気 晴れ   A気温 20度前後    B荷物 18kg程度
 C距離 12km   D登った高さ 1200m  E全行程 8時間(休憩含む)

【感じたこと】
 @最初は踏み跡があり風倒木等でコースが荒れていますが、木々に付けられた看板やテープに従って歩きました。
 A7合目までは谷の遡行が中心で、ここもテープ頼りになります。
 B7合目を過ぎ左側に30程のなめ滝を過ぎると、尾根に取り付きます。


1.登山口まで    2.メンノツラ谷



【本日のコースタイム
区間 所用時間
(分)
 コメント  各地点の標高
2〜5.登山口   40 林道  5=  810m 
5〜7.六合目    50 谷の遡行  7=1,030m
7〜9.七合目    55 途中、右側から土石流跡あり     9=1,220m
9〜11.尾根  25 谷から尾根へ 11=1,370m
11〜12.縦走路 30 スズタケ多 12=1,610m
12〜祖母山頂 20 縦走路、九合目小屋経由 祖母山=1,756.4m
  合計 220   休憩時間除く
  休憩含む 260
標高はGPSルートを地図から読みとったので参考程度に。

(1)
 県道8号(竹田〜高千穂線)から5.3kmあたりに「穴森神社」の看板があり、ここを左折します。
 





 (2)
 地図「1.登山口入口」
 (1)で左折後2.1kmで橋があり右折、橋を渡ります。橋のたもとには柱の上が赤い「禁漁区」の看板があります。左上に見える青い看板には林道の名称、反対側に「登山口」が記載されています。
 


 (3)
 地図「2.分岐」
 メンノツラ谷には実線、八丁越方面は点線へ。


 
 (4)
 地図「3.作業用ウインチ」
 近くを通るときに油の臭いがします。


 (5)
 お地蔵さん。
 


 (6)
 地図「5.登山口」
 その昔は山小屋があったらしいのですが、今は広場と登山届けのボックスのみのようです。

 

 (7)
 さっそく、川を渡ります。
 昨日の雨で少し増水しているようです。

 

 (8)
 地図「6.悪天候看板」
 これを見るとさすがに一旦ここで足を止めますよね〜
 ここまでも風倒木等で以外と藪こぎがあったりします。
 

 (9)
 6合目の少し手前。尾根に向かっているようでかなり登った感じがしますが・・・

 

 (10)
 地図「6合目」
 そばに別の看板があり、「1050m」の表示がありガックリ。
この看板に手書きで書いてあるように「まだ」6合目。正直ここで帰ろうかと思いました。

 (11)
 途中、小滝が幾つもありその度に右往左往・・・基本的に谷を登っていけば大丈夫、位の気持ちで構えておかないと精神的に結構苦しい・・・


 (12)
 地図「8.谷崩壊」
 右側から土石流らしい痕跡があります。ちょっと一休み。
 もう一がんばりで七合目です。

 

 (13)
 地図「9.7合目」
 少し手前の高い木に7合目の看板が設置されています。
 このあたりから谷の雰囲気が変わり、苔むした何とも言えない落ち着いた印象になります。
 

 (14)
 (13)を通過後、左に30m程のなめ滝を見上げながら尾根に取り付きます。
 地図「11.尾根」に上がり縦走路へ。
 急登で、途中スズタケに溺れそうな場所もあります。



 (15)
 地図「12.縦走路」
 祖母山から大障子方面への縦走路にやっとのことでたどり着きました。以前から気になっていた「メンノツラ」の看板です。

 

 (16)
 祖母山頂。
 平日でしたが、7〜8名の方がのんびりしていました。
 


大障子方面



メンノツラ谷