祖母山・冬

 冬のくじゅうにはしょっちゅう出かけていますが、冬の祖母山系に行ったことがありませんでした。
 3連休で天気もまずまず、今年は暖冬傾向なのでふと祖母山頂あたりでテント泊もいいかなぁ、と考え、コースは1日目は尾平下から大障子方面に登り祖母山頂下まで、2日目は障子岳、古祖母山を経由して尾平越えへ下山する計画(あくまでも計画・・・)。しかし、計画どおりに実行出来ないから計画なのです。
 要約すると@出発が遅くなったこと、A思いの外荷物が重くなったこと、B2日目があまりに樹氷が綺麗で思いの外時間がかかったこと、等々で山頂を踏んだのは祖母山だけと、ちょっとのんびりしてしまいました。

 旧分県登山ガイドの大障子への直登ルートの解説を読んでいると、本能が刺激されるものがあり、最大の興味はこのコースでした。確かに、これまで歩いた中では結構藪こぎチックですが、それほど危険ではありません。ただし、愛しの滝の近くだけは気を抜かない方が良さそうです。それと、今回、雪が全く無かったことも幸いしました。
 それにしても、冬場にテントを担いで登ると色々と荷物が増えて、前回縦走した時よりも重いのか、それとも鍛錬が足りていなかったのか、縦走路に出た時点で撃沈状態で、大障子を止めそのまま9合目小屋下の天場を目指しました。
 鹿ノ瀬を過ぎ、馬の背あたりを過ぎるまでガスで祖母山頂方面は見えませんでしたが、次第に樹氷が見え始め、時折ガスが薄くなるとどうやら樹氷だらけです。標高で言うと1500m以上、特に宮崎県側は樹氷です。

 天場に着くと周辺の木々は真っ白で縦走路も圧雪またはアイスバーンです。初日は誰にも会わなかったし、天場は当然のことながら誰もいません。本日のお宿を建て夜はゆっくり・・・風は強いし、風に揺れて樹氷の塊がテントの上にパラパラ、バラバラと音を立てて落ちてきます。
 シュラフも3シーズン用なので、シュラフカバー、ホッカイロを大小4個ずつあちこち貼り付け暖をとりました。それと当たり前かもしれませんが、弱火でもストーブを3分程付けると5℃くらいすぐにテント内の気温が上がります。 夜は、携帯でテレビを見ながらのんび過ごしましたが、外は相変わらず強風でガスがかかったままです。一応、夜明けを山頂で見るつもりで目覚ましをかけました。

 朝方目が覚めるとテントの中は霜で気温も−2℃位と、この時期としてはそう寒くないのかなぁ、と思いながら外は寒そうだし暗いし・・・と、思いながら横になっていると、気がつくとあと15分程で夜明けです。ありゃぁ〜、と思いながらテントを片づけながら樹氷が赤く染まるのを眺めておりました。
 山頂まではしっかり雪道です。山頂に着くとまだガスが取れておらず、時折くじゅう方面が見える程度で、今日は氷の祭典で人が多いんだろうなぁ、と思い眺めておりました。次第にガスが取れるのですが、祖母山を中心に両側からガスが流れ込み渦を巻きながら尾平方面に下っていきます。古祖母山方面の縦走路側のガスがなかなか取れませんでしたが、ガスが取れると宮崎県側が真っ白です。
 考えてみれば、祖母山系の冬は初めてで今までに見たことが無い樹氷です。縦走路の木がすべて樹氷となりずーっと樹氷のトンネルで、相変わらず一人でわーわー騒いでいました。この時点で、古祖母山へ行く気が起こらずというか、樹氷を楽しみたいというか、体力に限界を感じたというか・・・
連休中日で天気も良好でしたがすれ違ったのは3名で、尾平登山口の駐車場も5台と天気の割には本当に静かな山行でした。

 今回のお題は愛しの滝ルートを歩くことと、今の装備でどの程度まで寒さに耐えうるのか、という視点で2日間を振り返ると、
  @愛しの滝ルートは登山口から縦走路まで約2時間(休憩時間を含む&荷物は20kg程度)で、日頃藪こぎに慣れている方には特に問題は無いです。
  A寝袋(3シーズン)+シュラフカバーでは少々無理がある、
  B装備の重量が増えるので、体力増強、事前にボッカ訓練が必要、 とういことが今回の結論でした(当たり前だ!)。
1.登山口からしばらく林道です。途中分岐点がありますが谷沿いに直進します。
2.このルートの核心部は愛しの滝前後でしょう。
 1日目 愛しの滝ルート(クーチ谷)

(1)
 登山口の入り口にあたる林道入り口前の駐車スペース。
 青い点線より向こうがスペースです。
 ここから、手前に歩いて登山口となります。


 (2)
 林道看板の下に大障子岩登山口の看板があります。

 (3)
 しばし、林道を歩きます。最初に川を渡る地点です。


 (4)
 林道の左側に登山道らしい道がちらほら見えます。


 (5)
 20分程林道を歩くと林道の両側に石を積んであり、ここを左側に入っていくといよいよ登山道です。青い円の中の石には右の写真のように「大障子岩」と書かれています。


 (6)
 左の写真の円の中の拡大図です。


 (7)
 登山道に入ってから20分程で谷を渡ります。



 (8)
 最初に小滝に出ますが、これは「愛しの滝」ではありません。
 左岸に高巻く道があります。
 



 (9)
 (8)の滝の右側にある看板です。
 

 (10)
 本物の「愛しの滝」です。この滝のすぐ左側を設置されたロープを頼りに登ります。今回、雪が無かったので大丈夫でしたが、雪があると結構危ない場所ではあります。
 

(11)
 「愛しの滝」の上の分岐点です。
 ここは、素直に「ルート・良」と書かれた「旧道」を進みました。



 (12)
 手前に登ってきます。

 (14)
 縦走路に近づくに連れ道は穏やかになりますが、愛しの滝辺りは結構藪こぎ状態で、目印となるテープを見落とさないようにしましょう。

 


(15)
 尾平方面に下る分岐点の看板。前回の画像の流用です。



(16)
 9合目小屋下の天場です。
 2日目 祖母山縦走路の様子です
    
    (17)
    あけぼの山荘から見上げた樹氷。


   
   (18)
    祖母山頂から望む大障子岩方面の樹氷。


     
    (19)
    馬蹄形の中を渦巻きながら尾平方面にガスが下っていきます。


    
    (20)
    ガスに山頂が覆われた久住連山


    
    (21)
     祖母山頂から黒金尾根分岐までずーっと樹氷のトンネルでした。


     
    (22)
     同じく、トンネル。


 
      
    (23)
     樹氷に覆われた祖母山麓


       
    (24)天狗岩方面


    
(25)                            (26)標高が下がると暑くなり脱皮中です       
黒金尾根ルートは1400mポストより上の
登山道は雪に覆われています。